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「子どもの多様な学びの機会を保障する法律案」について

オルタナティブ教育法案が、名前も内容も大幅に変更され、 「子どもの多様な学びの機会を保障する法律」 として提案された。大きな変更点としては、学習機関の登録要件から学習内容を外したこと、保護者への「学習支援金」の給付というかたちをとったこと(バウチャー制度)だろう。以前の法案と比べ、ロジックはスッキリしている。バウチャーの是非はおいておくとして、学習内容を不問にしている点、高校無償化における矛盾(高校に行かなかったり辞めた場合)をクリアーしている点など、評価できる面はあるだろう。 私は、かねてからこの法案を批判してきたが、それは条文の内容以前に、法案の提案趣旨、法案の意義そのものについてであった。修正法案の提案趣旨は、従来とさほど変わってはおらず、そういう意味では、従来の批判は変わらない。 →『Fonte』時評欄 →いじめとの関連で 法案が現在の学校教育制度の問題としてあげる「いじめ、いじめを苦にした自殺、不登校、学習意欲の低下、学級崩壊、校内暴力の増加、発達障害への無理解、外国人学校への無権利状況等、種々の問題」を、画一的な学校教育制度のためとみなし、選択原理を導入すれば解決するというのは、どうにも皮相な見方だろう。教育の組み込まれている社会のあり方、価値観を問わずに、教育制度を多様化するだけでは、子どもを選別し、ふるい分ける視線は細分化し、ますます深く教育評価的な視線を子どもの世界にはりめぐらせることになるだろう。 そのあたりのことは、すでに述べてきたことだが、以下、まだ(ネット上では)述べていなかったと思う懸念を箇条書きにしておきたい。 ・フリースクールなどを含め、不登校の実態に見合う法案ではない。 ・とくにホームエデュケーションの位置づけに無理があること。 ・子どもの学習権を謳っているが、親の教育権の問題になるのではないか。 ・「学校との格差をなくす」と言っているが、そもそも学校制度が格差を生みだしている。 ・当然のことだが、法案である以上、立法の主体は国会議員であること。 言葉足らずだが、いろいろ意見を求められるので、さしあたって以上のことを述べておきたい。