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法案は大詰め段階、議員に声を

多様な教育機会確保法案は、大詰め段階に入っている。27日午前9時半~の立法チーム会合はエンドレスで行われ、ここでとりまとめる考えを 馳浩座長は示している 。まとめれば9月上旬には議員連盟の総会で議決され国会上程となる。 18日の立法チームで出た論点については、不十分ながら、 こちら に書いているので参照されたい(ヒアリングで私が述べた意見は、 こちら )。現在、この日のヒアリングを受けての条文修正が行なわれている段階だ。 これまで、法案については、いろんな意見があがっているが、意見のある方は、個人でも団体でも、立法チームの議員に声を届けることが大事だろう。すでに届けた方も、いま一度、まだ直接、議員に届けたことのない方も、26日までに。下記、立法チームの議員の連絡先(FAX/メールorメールフォーム)を掲載する。 政党・会派 議員名 FAX メールorメールフォーム 自民 河村建夫 03-3502-5085 g01410@shugiin.go.jp 馳浩 03-3508-3609 http://hase-hiroshi.org/contact.html 義家弘介 03-3508-3511 info@yoshiie-hiroyuki.com 萩生田光一 03-3508-3704 hagiuda@ko-1.jp 石井浩郎 03-6551-0713 http://ishii-hiroo.jp/contact/ 二之湯武史 03-6551-0923 info@ninoyutakeshi.jp 水落敏栄 03-6551-1013 公明 浮島智子 03-3508-3740 富田茂之 03-3508-3852 nanohana@shigeyuki-tomita.com 秋野公造 03-6551-0711 民主 笠浩史 03-3508-7120 info@ryu-h.net 林久美子 03-6551-1020 hayashi@93co.jp 郡和子 03-3508-3942 info@koorikazuko.jp 神本美恵子 03-3508-0010 info-kamimoto@kamimoto-mieko.net 維新 井出庸生 03-3508-3299 office@yousei-ide.com 牧義夫 03-3508-3258

立法チーム条文ヒアリング-2(論点整理)

多様な教育機会確保法案について、8月18日の議員ヒアリングで論点となったことを整理しておきたい(メモが不十分で、議論の全体をカバーしきれていないことは、ご容赦いただきたい)。 ◎理念法なのか特別措置法なのか? 共産党の田村智子議員から、「この法案は多様な教育についての理念法なのか、就学義務の特例を認める特別措置法なのか?」という質問があった。これに対し馳浩座長は「あくまで就学義務が前提であって、その特例を認めることだ」と応答した。中井敬三全国都道府県教育長協議会会長からも、基本理念に「学校教育法第一条に定める学校での普通教育を原則とするが」との文言を入れるべきだとの意見があり、馳座長も応じるかまえを見せていた。 これまで、馳座長は「この法案は、不登校のなかでも学校にほとんど来ない子どもたちの存在が立法事実で、学校外で学び育っている現状を追認するための法案だ」との説明をくり返してきた。しかし、法制度上は、あくまで一条校への就学義務を前提とせざるを得ない。「普通教育」の内容に多様性が認められ、それが理念的に保障される法案にはなっていない。そのため、ホームスクーリングやオルタナティブスクールなど、初めから就学義務を前提としない場合については、原則的には認められないものになっている。立法側の現行制度と不登校の現状との矛盾を何とか解消したいという意気込みはわかる。また、解釈で実をとるという面もあるとは思うが、これは法律の根本的な問題なので、運用面で変えていくことのできる問題ではない。これまで推進する側が言ってきたように「この法案で多様な教育が認められる」というほど、単純な話でないことは確かだ。 ◎「二重学籍」は解消されるのか? また、この法案の必要性の根拠に、「二重学籍」問題があげられていたが、この法案では「二重学籍」は解消されない。学校から教育委員会に籍が移るものの、フリースクールなどで独自に卒業資格が出せるわけではないからだ。認定するのは教育委員会となり、しかも修了書という卒業証書とは異なる形式での認定となる。 ◎個別学習計画は現状追認? この法案で、いちばんの問題になっているのは個別学習計画だが、これについても「基本的に現状を追認するもので、学習指導要領に沿うものを求めているわけではない」と、馳座長からはくり返し見解が示されている。しかし

立法チーム条文ヒアリング報告(自分の部分のみ)

昨日、「多様な教育機会確保法案」の立法チームのヒアリングに参加してきた。今回は、条文についてのヒアリングということだった。私以外は、中井敬三(全国都道府県教育長協議会会長)、志村修(千葉市教育委員会教育長)、奥地圭子(フリースクール全国ネットワーク代表理事)、西野博之(NPO法人フリースペースたまりば理事長)の各氏。 まず、政治情勢からいうと、21日の立法チーム会合から、条文のとりまとめ作業に入るとのことだった。ただ、現時点でも、立法チームのなかで意見にかなり相違があり、条文がまとまるのかどうかは、わからない状況もあるように感じた。 私が申し上げたのは、下記6点。 *  *  * 1.基本理念・目的について 第一条に「児童の権利条約の趣旨にのっとり」と入ったこと、二条に「普通教育を充分に受けていない者の意志を尊重し」と入ったことなどは重要だ。 2.個別学習計画について しかし、個別学習計画については懸念が大きい。立法チームに要望書も提出されているが、これまで幾人もの親御さんから、子どもが不登校になると、親は焦って勉強などで子どもを追い詰めてしまうこと、個別学習計画が親の不安を煽って子どもを追い詰める結果にならないか、自身の経験上の悔悟とともに懸念が示されている。 3.多様な教育機会として、家庭は外すべきではないか。 不登校の家庭で、地域で孤立している家庭は多い。子どもも親も学校を中心とした関係のなかで生きているため、不登校になると、子どもだけではなく、親も関係が断たれてしまう。その孤立状態が、さまざまな問題を引き起こしている。不登校の親の会や、フリースクールなどは、地域で孤立してしまった親子が、地域を越えた関係を回復することに役立ってきたと言えるが、文科省の調査では、フリースクールに通う児童生徒は4200人、不登校全体の3.5%に過ぎない。大半の不登校の家庭は孤立状態にあると言える。家庭が孤立している状況のなかで、自宅までを範囲として多様な学びを認めるということに、現状では無理がある。それが、個別学習計画への懸念に現れている。 長期欠席のなかには、家庭が孤立したまま、過酷な状況に置かれている子どもたちがいることを忘れてはならない。そして、過酷な状況の人ほど声をあげられずにいることを肝に銘じないといけない。 この法案が理念法で、現実

法案をめぐる動きについて

8月11日、議員連盟の総会で、多様な教育機会確保法案の条文案が公表された。 法案の正規名称は、「義務教育の段階に相当する普通教育の多様な機会の確保に関する法律案」となっている。 条文案の全文は、不登校新聞社のサイトでも閲覧できる。 →不登校新聞Web版2015.08.11 もともとの予定では、11日の議連総会で条文案を可決し、国会に上程する見込みだったようだが、議員のなかでも意見がまとまっていないようで、条文案をもとに、さらに数回のヒアリングを開くことになったそうだ。18日に開かれるヒアリングには、私も呼んでいただいた。 9月9日には、東京・渋谷で「ますます不登校の子どもが追いつめられる!? 9・9『多様な教育機会確保法案』緊急大検討会」が開かれる。石川憲彦さん、石井小夜子さん、内田良子さん、桜井智恵子さん、私が話題提供。法案そのものの検討が主眼だが、教育をめぐる幅広い視野からの論議ができるのではないかと期待している。 →詳細は、こちらのサイトから。 いずれにしても、この法案をめぐる動きは、大詰めを迎えている。

多様な教育機会対話フォーラムと、その後について

遅くなったが、7月26日の多様な教育機会対話フォーラムについて、簡単に報告しておきたい。このフォーラムは、多様な学び保障法を実現する会の総会の予定を大幅に変更して、懸念や慎重・反対の声も含めて、対話する場として設定されたものだった。 私も、これまで述べてきた懸念を提示したが、それはやみくもに対立することではなく、むしろ推進する人たちとこそ懸念を共有したいこと、そのうえで、推進する側は、懸念の声を受けて、現在、条文化作業が進められている法案に対して、ここは譲れないという原理原則を提示してもらいたい旨、冒頭に述べさせていただいた。 フォーラムに先立つ第1部では、奥地圭子、喜多明人、汐見稔幸(VTR)の各氏から基調講演・報告があった。とくに喜多氏は、これまでの懸念を受けて、具体的な論点を提示された(くわしくは下記に資料がアップされている)。 http://aejapan.org/wp/?p=510 第2部は、吉田敦彦氏が進行されたが、ここでも最初に論点整理が示された(上記リンク参照)。ただ、参加者からの発言では、おもに下記の2点に意見が集中した。 1.個別学習計画と、その認定について。 推進・慎重・反対を問わず、この個別学習計画への懸念や批判は非常に多かった。懸念への応答としては、認定ではなく認証にできないか、事前審査ではなく事後評価にすべきではないか、額面通りに受けとらず上手にやったらいいなど、さまざまな意見があった。 2.親が子どもを追いつめてしまう懸念について。 この法案がこのまま進んだ場合、焦っている親が、かえって子どもを追い詰めてしまう危険について、実際の経験を踏まえた懸念がいくつも語られた。立法者や推進者の意図を超えて、結果として、法案によって追い詰められる子どもが出てくる可能性は否定できない。こうした懸念に対しては、子どもの最善の利益や休息の権利など、子どもの権利条約の理念を法案に書き込む必要があるなどの意見もあった。 また、今回の議論で明確になったと思われるのは、多様な教育機会の確保と言いつつ、あくまで特例として就学義務の履行とみなすのであり、法案は学校教育法と並ぶものにはなり得ないという点だろう。この制度を使っての「卒業」が学校の卒業資格と同等の資格になるのか、学歴社会のなかで不利益が生じないのかなどの懸念も示された。