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広域通信制高校問題

ウィッツ青山学園の就学支援金不正受給が問題になっている。 NHKの報道 によると、文部科学省は4年前の実地調査で、同校に、そのほかにも法令違反の可能性があることを指摘していたという。また、2014年1月に 文科省が発表した調査 でも、広域通信制高校には、さまざまな問題が起きていることが指摘されている。今回の事件を受け、文科省は緊急点検を行い、年度内にも報告を出すという( 時事通信12月9日 )。 そもそも、広域通信制高校は、どういう状況にあるのだろうか。 上記の文科省報告によると、県立高が1校、私立の学校法人が65校、株式会社立が21校。問題となったウィッツ青山学園は株式会社立だ。株式会社立の学校は、2004年からの構造改革特区で可能となったものだが、現在はそのすべてが通信制高校(その大半が広域通信制)となっている。 通信制高校全体をみると、公立校の生徒数は減少しているが、私立の生徒数は増えており、2006年を境に私立が公立を上回っている(学校基本調査)。また、私立通信制高校は8割以上が2000年以降に設立されている(126校)。最大手のクラーク記念国際高校は生徒数が1万1000人を超え、私立上位10校の生徒数が5万2243人、全体の45.9%を占める。生徒数2位の鹿島学園は2009年~2014年の5年間で生徒数を23倍に伸ばしている。(以上は、 学びリンク『月刊学びREVIEW』 2015年9月号より) そして、その広域通信制を成り立たせているのが、技能連携校や学習センター、サポート校、サテライト施設などである。このうちサポート校やサテライト施設は教育実態や法的な位置づけが問題となっている。サポート校には学習塾が経営しているところが多いが、この10年ほどで、もともとフリースクールとして活動してきたところがサテライト施設を引き受けるようになっている例も目立つ。 問題は、就学支援金不正受給にとどまらないだろう。規制緩和が学校教育への営利目的の市場参入を招き、この10年で何が起きてきたのか、きちんと検証をする必要がある。そしてまた、フリースクール関係者の自己検証も求められるだろう。それはまた、現在、懸案となっている「多様な教育機会確保法案」にもつながる話だ。 追記(12/11):関連資料 「広域通信制課程に対する所轄庁の関与について(PDF)」