子どもの自殺者数増加について

文科省の調査(*1)によると、2018年度の小・中・高校生の自殺者数は332人で、現在の統計方法になった1988年度以降、過去最多となったという。ここ3年連続で増加傾向にあるが、その前の3年、2013年度から2015年度にかけては、240人から215人まで減少傾向にあった。それが2016年度から再び増加に転じ、2017年度から2018年度にかけては250人から332人へと、82人も増えている。

ただし、この調査は「学校が把握し、計上したもの」となっているため、実態を反映しているのか、疑問の声もある。自殺の統計には警察庁の調査もある(*2)。それによると、19歳以下の年間自殺者数は、2016年520人、2017年567人、2018年599人と、やはりこの間は増加している。

たいへん気がかりな数字だ。自殺の要因については、さまざまであろうし、文科省の調査でも「不明」が6割となっている。実際問題として、人が自殺にいたるには、いろんなことがからみあっているだろうし、理由を安易に特定することはできないだろう。しかし、一方で影響がないか、検証が必要だと思うのは、夏休み明けの自殺に関連する報道のあり方についてだ。

内閣府が18歳以下の日別自殺者数を発表し、9月1日が突出して多いことがわかったのが2015年。以来、不登校新聞社をはじめとして、夏休み明け前後の時期には、不登校と夏休み明けの自殺をからめた報道キャンペーンが、毎年、過熱気味にくり返されてきた。そして、その間、子どもの自殺者数は、増えているのだ。この数字を、関係者は重く受けとめなければならないだろう。

*1 文部科学省 平成30年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査
*2 警察庁 平成30年中における自殺の状況
※文部科学省の調査は期間が「年度」で、対象は小・中・高校生、警察庁の調査は期間が「年」で対象は19歳以下となっているので、単純比較はできない。

コメント