『名前のない生きづらさ』刊行にあたって

なんだか、もやっと生きづらい。名前(肩書き)がなくて生きづらい、あるいは自分でも名づけようのない生きづらさを感じている。そういう感覚は、いまや多くの人が共有しているものになっているように思います。しかし、そんなことを言っていると、専門家からは、「不登校」「発達障害」「ひきこもり」「ニート」などなど、いろいろに名づけられて対処されてしまいます。でも、どれもこれも、当事者の実際とはズレているように思えます。

このたび、『名前のない生きづらさ』という本を出しました。
共著者の野田彩花さんは、そういった名前と自分とのズレを、その裂け目に深く深くダイビングするように潜って、そこから言葉をつむいで書かれています。無礼な名づけの呪縛を、身をよじってほどいている、と言ったらよいでしょうか。

私のほうは、「不登校」だとか「ひきこもり」だとか、名づけのいちいちを問い直しました。教育機会確保法と不登校とフリースクールなどの「ねじれ」についても書いています。

また、「なるにわ」の活動についても、1章を設けています。本書も、「なるにわ」というお庭に茂った枝葉のひとつとも言えます。「なるにわ」を知っていただく機会にもなればと願っています。

とはいえ、本を買うにも、お金のかかるもの。懐事情の厳しい方は、図書館にリクエストしていただければ、と思います。また、読んでくださった方は、忌憚のないご意見ご感想をお寄せいただけると、たいへんありがたいです。よろしくお願いします。

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