「フリースクール全国ネットワーク調査検証委員会中間報告」への疑問
フリースクール全国ネットワークから、「フリースクール全国ネットワーク調査検証委員会中間報告」が発表された。
この委員会は、東京シューレにおける性暴力事件発覚を契機として、フリースクールで発生する人権侵害事件に関する予防や対応に取り組んでいく必要から設置されたものだという。
しかし、事件そのものの検証は、別に設置されている第三者委員会において進められており、当然のことだと思うが、フリースクール全国ネットワークの設置した検証委員会では、事件そのものの検証はできないとのことだ。そのうえで、人権侵害予防のための行動規範の策定、人権侵害事件が生じた場合の対応方針や相談体制の策定、組織体制の課題及び改善策の提案などがなされている。
これは中間報告で、寄せられた意見をもとに、最終報告にまとめるという。
私も、この事件については証言や発言をしてきており、一個人として意見を送るべきかと思ったのだが、報告書の内容以前に、いくつか疑問があり、さしあたって、それを呈示しておきたい。
1.委員会の構成について
副委員長の安井飛鳥弁護士について、Twitter上での言動が問題だと指摘する声があり、当該事件の被害者の方からも、特定委員の人権感覚・倫理観が問題であるとして、検証委員会から外すよう要望されている。私自身は、安井弁護士の言動について確認しきれていないが、委員会設置の契機となった当該事件の被害者から表明されている意見に対し、フリースクール全国ネットワークは応答しているのだろうか。少なくとも、現時点において、ホームページに見解は示されていない。応答のないままに、中間報告を発表しているとすれば、それはなぜなのか。
2.事件の検証がすむ前に報告書をまとめていること。
当該事件については、第三者委員会による検証作業が進められているという。そうであれば、その検証作業がすんでから、その報告をもとに、フリースクール全国ネットワークが、ネットワークとしての検証作業をすべきではないか。直接、事件の検証ができないことは理解できるが、第三者委員会による事件の検証を待たずに、一般論として、ほかの事例などをもとに検証報告を出すことは、本末転倒ではないか。当該事件においては、フリースクールのあり方自体が問われている面がある。その検証を経ずに報告をまとめることは、事件を軽視していることになるのではないか。
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事件を受けて、フリースクール全国ネットワークが、フリースクールのあり方やネットワーク組織のあり方も含めて検証をしていること自体は重要なことだと思うが、まずは、以上2点を疑問として呈示しておきたい。
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