『キリンの子を読む』を読む
鳥居さんの歌集 『キリンの子』
は短歌としては異例のベストセラーとなった。同時に発売されたドキュメント『セーラー服の歌人 鳥居』
よりも、ずっと売れているらしい。それは何よりだと思う。なぜなら、ややもすれば鳥居さんの存在は「感動ポルノ」として消費され、使い捨てにされかねないからだ。
鳥居さんの短歌は、鳥居さんの半生と切り離せないものではあるだろうけれども、短歌のほうが多くの人に響いたというのは、それだけ言葉の強度が高く、また深度が深かったということだろう。昨年末、『キリンの子を読む』(現代短歌社)という本も出版された。2016年に京都で開かれた『キリンの子』を読むつどいのようすとともに、岡井隆さんの論評などが収録されている。鳥居さん自身も少し語ってはいるが、それはとても慎ましいものだ。この本では、歌人たちが鳥居さんの短歌をさまざまに評していて、ひとつの歌がいろいろな角度から浮き上がってくる。それがたいへん興味深かった。いわば、歌会をのぞかせてもらったような感じと言おうか。
私も『キリンの子』が出たときに、僭越ながら書評を書かせてもらったが、あえて短歌そのものには触れなかった。私の粗雑な評で短歌をくもらせたくなかったからだ。しかし、この本に出てくる評は、さすが歌人たちによるものだけあって、とてもスリリングで、逆に鳥居さんの短歌が研ぎ澄まされていくようだった。そのへんのレビューを読むぐらいだったら、この本を手にとることをお勧めしたい。が、なぜかAmazonでは取り扱い中止になっている。取り寄せてフォロに置いているので、よかったらお声かけを。
*ついでにお知らせ
不登校新聞(475号/2018年2月1日)で、鳥居さんが夜間中学校について対談形式で語っている。全文無料で読めるので、よかったらこちらもどうぞ。
→不登校新聞Web版
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